政府系発行体¹である東京電力ホールディングス株式会社（以下「東京電力」）のコーポレート・ファミリー・レーティングBa1は、同社のベースライン信用リスク評価(BCA)b2に基づいている。格付には引き続き、ムーディーズの複合デフォルト分析（JDA）の中で、東京電力と日本政府（A1 安定的）とのデフォルト相互連関が「非常に高位」、また、日本政府からの継続したサポートを得られる可能性が「高位」との評価が織り込まれている。

東京電力は、2011年の福島原発事故後、政府系発行体となった。政府と原子力損害賠償・廃炉等支援機構（以下「機構」）からの直接・間接の支援なしには、同社は福島関連の多額の賠償金の支払い責任を果たすのは難しい。東京電力の経営に対する政府の深い関与や機構を通じた資本注入が、東京電力の信用力を支える要因となっている。

燃料費の高騰を受けて多額の損失を2022年度に計上した後、2023年に規制料金と自由料金の値上げを実施し、コスト回収の改善が進んでいる。こうした一方で、原子炉再稼働や脱炭素に向けた設備投資等で債務は増加するだろう。